やんちゃなアーティスト山村幸則さん

ストロベリームーンが大きく輝くメリケン波止場の夜、港都芸術祭で縁あってお友達になれたアーティストの山村幸則さんと、活動の近況についてお話した。

近頃企業の社屋にモニュメントとしてパブリックアートを作られたそうだ。大手医療メーカー、製薬会社、老舗運送会社など山村さんの作品が街中で観られる。

造形物の他、山村さんの作品の多くは、市民の協力を得ながら現場で完成する。一昨年私もその内のひとりとして、体験した。巨大写真フレームを通して神戸150景を撮って回るというコンセプト。重さ100キロほどの錨を付けたフーレムに滑車をつけて、複数人で街中を押して回る。撮った写真は展示会場に掲示され、150枚の写真で神戸のマップを埋める。炎天下の夏、数日に渡るプロセス自体も作品の一部である。

他の作品には、山育ちの神戸牛の仔牛に海を見せるため、神戸港まで引き連れて再び山に帰っていく《神戸牛とwalk》、松茂る芦屋公園で自ら松の木に扮して体操を行なう《芦屋体操》明石で釣った鯛を魚屋道を通って六甲山頂まで、江戸時代の魚屋の格好で運ぶ。《キジ meets 鯛 》などがある。

地域の歴史や自然を題材に、山村さん自身やそれに賛同する人々の体験も作品の一部になる。

静的な完成物とは対象に、どこからどこまでが作品で、どうなれば完成なのか。そう思えるほど自由なゴール設定に、既成概念が崩れる。

「作品はどうなれば成功するのですか?」とお聞きした。「いやぁ・・成功!というゴールは特にないです、自分はプロジェクトを計画するが、計画性のないハプニングが起これば起こるほど、作品に面白さが加わり、むしろそれが成功かもしれません」まさに体験型のアート作品。その柔軟性とチャレンジ精神に大変感銘を受けた。

仔牛を海に運ぶ。松の格好で体操する。鯛を山まで運ぶ。「思いついたら、やってみたい!」その意欲が抑えられないとのこと。奇をてらわない、その真っ直ぐなベクトルが賛同者の心をつかんでいるようだ。人生の先輩ながら少年のようで「やんちゃ」な山村さんのお話に自分も心がけていてた「既成概念をぶっ壊す」を思い出した。なんだか私もワクワクしてきた。

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